2013年11月18日月曜日

ストラヴィンスキー/ニジンスカ バレエ・カンタータ《結婚》

ストラヴィンスキーのバレエ・カンタータ《結婚》は、音楽を聴くだけでも、クラシックにもこんなすげー曲があるんだぜ、なめんなよ、っていう気持ちにさせてくれる、ものすごくインパクトの大きな傑作なのだが、そこにオリジナルのブロニスラヴァ・ニジンスカの振り付けがつくと、もう、むかうところ敵なし、というくらいに、すごい。

ある意味で、総合芸術の夢を追求したバレエ・リュスの集大成といってもいい作品だと思う。

11月17日、新国立劇場の「バレエ・リュス ストラヴィンスキー・イブニング」の最終日に足を運んだ。学生時代にパリ・オペラ座バレエ団の映像を観て衝撃を受けて以来、いつか生の舞台でニジンスカ版の《結婚》を観てみたいという長年の夢が実現し、本当に大満足だった。

若い新国立劇場のバレエ団の群舞も、ものすごくきれがよく、かっこ良かったが、合唱団も負けてはいない。力強い声といい、精度の高いアンサンブルといい、いつもながら、本当にすばらしかった!

それにしても、独特な作品だ。

ロシアの農村の伝統的な結婚儀礼にもとづくテクストを呪文のように唱える合唱。ひたすら冷徹に変拍子の複雑なリズムを刻み続ける4台のピアノと打楽器群。儀式的な身振りと民俗的なステップを取り入れながらも、舞台上に次々と構成主義的なフォーメーションを作り上げていくニジンスカの振り付け。そして、白と焦げ茶のシンプルな民族衣装に身をつつみ、その独特な振り付けを無表情な顔でひたすら踊り続ける男女の踊り手たち…


結婚("Les Noces"とタイトルが複数形となっているのが重要)、といいながらも、そこに展開するのは、もっと根源的な、人間という存在そのもののドラマだ。

プログラム冊子の解説には、この独特な作品(特にニジンスカの振り付け)の背景には、当時の「ソヴィエト=ロシアの労働者賛美」があると解説されていた。このあたりのことは調べてみると面白そうだ。プログラム冊子にはまた、「ロシアの農村に見る結婚儀礼」というエッセイも載っていて、作品のバックグラウンドを理解する上で、とても勉強になった。

また、いつか、近いうちに、再演される日が来るといいのになあーーー

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