2011年5月4日水曜日

TARO


昨日、東京国立近代美術館で行われている「岡本太郎展」に行ってきた。
ゴールデンウィークとあって、かなりの人出だった。

岡本太郎の絵や彫刻は、作品としては、そんなにいいとは思えないのだけれど、
(それでも、絵画作品にくらべると、彫刻のほうが断然おもしろい)
彼の残した文章は、ほんとうにすばらしい。
岡本太郎という人間が思考し、感じたことの、瞬間のみずみずしさが、
直裁に伝わってくる、そんな文章だ。

人ごみをかきわけるように、慌ただしく、一通り展示を見終わった後、
みすず書房の「岡本太郎の本 全5巻」を半ば衝動買いし、
家に帰ってから、展覧会で引用されていた文章を探す。

——「生活そのものとして、その流れる場の瞬間瞬間にしかないもの。
そして美的価値だとか、凝視される対象になったとたん、
その実体を喪失してしまうような、
そこに私のつきとめたい生命の感動を見とるのだ」
(岡本太郎「沖縄文化論——忘れられた日本——」)

「生命の感動」なんて、今更ながら、
ちょっと恥ずかしくて口にできないような台詞だけれど、
逆に、何だか新鮮でもある。